タイヤが息を吐く?、チューブレスのススメ、後編
最後となりました。
→前回記事、タイヤとリムの相性も大事、チューブレスのススメ、中編。
空気圧の低過ぎる、スローパンクなハンドリングのように話がフラフラと分かりにくかったかもしれません。
この後編ではしっかりとラインをトレースする感じですっきり纏めたいと思います。
現代のチューブレスは「シーラント」が必要である。という前編はまあ分かるところかと思います。
そして、タイヤとリムの、“相性”が大事であるとした中編でしたがそこをポンプで上がるかどうか程度にしか説明していませんでした。いわゆるヤマネのあやふやトーク。
ここをしっかりと攻めていきます。
その、“相性”とは「ビード」と「フック」の嚙み合わせのことを言うています。
タイヤの縁の固くて少し太い内周部分をビードと言います。
そのビードが空気圧で拡がったところを受け止めるリムの外周部分をフックと呼びます。
上がる上がると繰り返していましたが、これは空気を充填することでタイヤのビードが車輪のリムのフックに噛み合って嵌ることの表現です。
リムの中央部から左右へと登って上がる感じですね。
で、この内周と外周の大きさが一致することで、どのホイールにどのタイヤが合うかなどと分かります。
700Cや29erなら622x○○C
26インチなら、559x○○C
といった感じに表記されています。ETRTO規格または表記と呼ばれています。
この662や559というところのサイズが同一であればひとまず合うはずです。
なお、○○Cの部分は、タイヤでなら設計上の膨らんだ時の外幅。リムでは外周フック部左右間の内幅です。
クリンチャーであればこれだけの理解が無くても、ほぼほぼ良かったのですが、気密性の大事なチューブレスではもう少し踏み込んだ方が良いでしょう。
よくチューブレスタイヤは固くて嵌めにくいと言われていましたがそれは正に、“相性”の悪さが主たる原因です。(某リムメーカーのセミナーでの受け売りまま)
タイヤメーカー、リムメーカーそれぞれが開発・設計し生産される中で、622に対して微妙に違うことがあるわけです。
例えば622が1mmずれて623になれば円周では3mmちょっと長くなります。そんなにタイヤを人力で伸ばせるかというとかなり困難そうですね。
道具を使って嵌められないわけではない程度までの固さになると、もう普段の整備性が悪過ぎます。
また逆に緩くて、すっぽり入りやすいじゃん!という場合は以下に紹介する埋め込み動画のようになります。
※Tubelessとのタイトルですが、いわゆるチューブレス化したホイールに通常のクリンチャータイヤを合わせたものとのことです。それに強く荷重した瞬間です。
空気圧が掛かって固定されているはずのビードからあっさりバシュっと抜けてしまいます。これは大手メーカーのチューブレス規格同士でももし嵌合が緩かったのなら、強い片側荷重で割と簡単に発生します。
国内では(チューブレス)タイヤが息を吐く、とか吸うなどと呼ばれています。英語だとburping、と言うようです。
この緩い組み合わせだと息を吐くことで一気に低圧になってしまいます。さらに低圧になることでもっと余計にビードが外れやすくなります。つまり走行中に簡単にタイヤが外れうるわけです。
そもそもビード部での気密がいまいち効いていないのでホイールのサイドから抜けていく、シーラントの効きにくいスローパンクのような現象が起こります。
更に言うと、タイヤの側面から大量に泡が出る現象もこの状態に起因する、かもしれません。これはメーカーでなくて当店ヤマネの仮説です。
とどのつまりチューブレスにおいてビードとフックの相性が固過ぎては意味がなく、緩いとあまり宜しくないというまるでクイックリリースの締め方のようですが、この塩梅を理解するのが超大事という結論です。
大手メーカー製のみならず、専用リムテープによるチューブレス化ホイールでも同様に判断の参考にしてみてください。
具体的にはタイヤのビードを落とす際に両手の親指でしっかり押して外れる程度、がベストに近いでしょう。
以前までは単に外れにくいことを主として開発されていましたが、近年では嵌めやすさを両立するよう次の段階へ、リム内側形状の開発が進んでいます。
そこで業界側もメーカーを跨いで、ホイールに対応するタイヤを公表するようになってきました。
例えばZIPPのフックレスや、ジャイアントのCADEXなど。
当店おススメのマヴィックも表立っては言っていませんが、2021年MYでよりブラッシュアップされ、他メーカーのタイヤも組み合わせやすくなりました。
当店で確認したのはミシュランとIRCのチューブレス・レディ
そしてなんと固くて噂のコンチネンタルのGP5000TLもOKです。
(ほぼ)道具無しでも入りましたよ!(前後の内、片方のみでしたがまあヨシ!ヤマネでは基本手で入る組み合わせを推奨です。)
さあさあ相性問題はさらに切り口がありますが、もうこの辺で。
以下、後日追記・・・予定。泣きのもう一編?
あと残るは、
ホイールを外さずパンク対応出来るのがチューブレス、
そもそもパンクしないかも?という特別なシーラントについて、
の2点です。